独習Linux 2007 Mar 1
Rating: 4.5

将来につながるLinuxスキルをゼロから学習できる本。プログラマーやサーバー管理者になるための基礎知識が過不足なく取り上げられている点が評価できる。 『独習Linux』
小林 準


表紙を見ても一切新しさを感じさせないが、1月に発刊されたばかりの入門書。「最近Linuxはどう紹介されているのだろう?」という点が気になって読んでみた。 もうLinuxは本当に普通のOSになったな、と思った。

従来のLinux入門書はUnixの系譜やらインストールの制約やら色々な枝葉末節の話が混入していたのだが、この本ではその辺りはすっぱり取り去ってシンプルに「Linuxを使えるようになるにはどうすれば良いのか」をチュートリアル形式で淡々と説明している。 最近の動向を反映して、解説しているディストリビューションはUbuntuとCentOSになっている。少し前だったらFedoraとDebianだったところだろうが、良く考えるとこの選択は合理的だと感じた。 UbuntuとCentOSは、選択基準が若干異なる。 まず「とにかく敷居が低いもので常用していきたい」となればUbuntuのまとまりの良さは何ものにも代えがたい。迷ったときはUbuntuを選択しておけばトラブルは少ないと考えられる。 一方のCentOSは商用アプリケーションを利用しやすいディストリビューションとして選択すべきものだ。現時点で企業ユースのディストリビューションはRedhat Enterprise Linuxがデファクトになっているから、そのクローンで勉強するということはプロフェッショナル仕様にステップアップしやすいというメリットがある。

さらに言えば、この本の解説を具体的に眺めていくと、Ubuntuの説明はDebianと同じ(インストーラは異なる)と考えて良いし、CentOSの手順でFedoraも使えるようになるはずだ。100%同じとは言わないが、直感的には99%同じと思う(じっさいにUbuntu/Debian/Fedoraを使ってきた経験から考えて)。 一見、変わったディストリビューション選択だが実は書かれている知識のカバー範囲は広い

また、この本ではVMwareを利用した手軽なセットアップ手順を紹介している点も実用的で良い。インストールすること自体もスキルのうちではあるが、とにかくトラブルなしに使い始めたい場合は仮想環境が優れている(通常のアプリケーションのようにLinuxが起動する方法)。

具体的な操作説明の記述レベルも適切だと思う。 それぞれのコマンドを表層的に説明するのではなく、たとえばユーザー管理とはどういうものか?関連する設定ファイル、コマンドは何か?という点を明らかにしているため、じっさいにLinuxシステムを動かした場合の判断力を身につけることができる。 やや難を挙げれば、初出の用語に一部説明不足な点があるので、最初は何のことを言っているのか分からないことがあるかもしれない(分からないことだらけ、というほどではないはず)。 ただし、この本に書かれている内容くらいはまっとうな技術者であれば理解しておかなければならないことだから、Webで調べてでも理解を深めるべきだ。

なお、この本の記述範囲はシェルを中心としているため、Emacs、vim、Apache、MySQL、各種プログラミング言語などは別途本を用意する必要がある。 こういったアプリケーションはそれぞれディープに理解しないと用をなさないものだから、中途半端に解説するよりもこのポリシーで正しいと思う。

総じて良くまとまっていて、本気で学習を始めたい人におすすめできる。

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